彼岸のお墓参りの時期は過ぎようとしていますが、数年前、親戚のお墓に参ったときのことです。高知市の北に比島というところがあって、先祖のお墓があります。今は姿を消しましたが、「比島」は60m位の低い小さな山で、実はこの付近は昔は海だったのです。1000年余り前ですか、紀ノ貫之が土佐にやってきて「土佐日記」を記した頃は、高知市は海の底で、比島の他に葛島もあって海に浮かぶ小さな島だったようです。

お墓は静寂な裏山にあって、ある日その付近を散歩していたら、竹藪の中に古い墓があるのを発見しました。よく見ると「岡田以蔵の墓」と書いてあります。武市半平太が率いる土佐勤王党の武士で、数々の戦場で三尺に余る長刀を振り回して手柄を立てた「人斬り以蔵」の事は映画にまでなって、よく知っていたのですが、まさか祖先の墓の近くにお墓があろうとは思っていませんでした。

しかし誰が祀っているのでしょう?お墓には沢山の花が添えられ、彼を愛した人が今もいることを知りました。京都で役人につかまった以蔵は、土佐に送られ、鏡川の「ガン切橋」というところで処刑されました。しかし、お墓の周りには、今は幸せな光が射しているように思え、思わず合掌しました。

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