対日照の目立つ時期がやってきました。真夜中の太陽と正反対の位置に輝く不思議な光芒です。これは、太陽系の火星と木星の間に、無数に散在する小惑星群の輝きとされていますが、小惑星は一つ一つ肉眼では見えません。大型の望遠鏡で捉えても大変に暗い光です。無数の小惑星が全体として、ボーウと淡い雲の如く輝いているのです。今の日本では夜空が明るいので、見られる場所が限定されてきました。
 戦前に山本一清博士が国内に「黄道光観測所」を設置し、彗星発見で有名な本田実氏が観測を続けてきました。そして黄道光と対日照の観測の仕方についての指導書もOAAから出されました。あの彗星発見の本田さんが、この道の権威者であったことを知る方は少ないでしょう。
 
 写真は1980年頃の晩秋初冬、芸西村の天文台で映したもので、有名なおうし座のスバルの近くに広い光芒として見えています。天体写真を撮影していて偶然気が付き、その光で写真がカブルのではないか、と心配するほどの輝きでした。
 ただし夜空に天の川があっても見られません。冬の淡い天の川の3分の1以下の明るさでしょうか。夜空の暗さを自慢する天文台で試してみて下さい。

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