周期約70年の「ポン・ブルックス彗星」は遠く海王星のあたりを回って今最も地球に接近しています。添付した写真は天文台の一般公開のあった12月4日に200ミリ望遠レンズで撮影したもので、いかにも彗星らしく優しくほんのりと輝いています。位置は夕方の琴座の一等星ベガのそばにあります。全光度は9等星ですが非常に拡散したイメージで確認するのに苦労します。
 
 今から70年昔の1953年の回帰の時にも、私は高知市カミマチの自宅の”物干し天文台”で観測しました。実に70年振りの対面と言う事になります。その後、いくつかの新彗星の発見はありましたが、このような遠来の大物の彗星と面会するのは格別の喜びです。よく、長々と天文を続けてきたものだと、我ながら感心しました。
 この彗星を最初に発見したのはフランスのポンで、彼は口径50mm、30倍くらいの小さな望遠鏡を使って、生涯28個もの彗星を発見しました。彼は、パリ天文台の門番だったといいます。(マースデン博士談)
 どんな小さな望遠鏡でも、その機械の能力いっぱいの仕事をする。これは設備に恵まれないアマチュア天文家の信条です。そうあってこそ、初めてもっと大型の望遠鏡に進んでいけるのです。

 ポン・ブルックス彗星について注目すべき事柄があります。この彗星は来年の4月には近日点を通過して明るくなります。かつてのハレー彗星のように天を圧する大彗星となって、世界中の人を恐怖と感激のルツボに追い込むかもしれません。予想光度は金星よりも明るいマイナス5等-6等??! 今まで何度もバーストを起こしています。つまり彗星の内部で爆発が起っているのです。大変に、気まぐれな彗星嬢ですが、優しく気長に見守って下さい。そして私が逐次ブログに発表していく芸西天文台のニュースにもご注目ください。

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