この彗星は1812年、フランスのコメットハンター、ポンとブルックスによって独立に発見されました。比較的明るい彗星で、ポンはわずか口径5センチ30倍くらいの屈折望遠鏡で発見したと伝えられています。
 当時は明るい未知の彗星が多かったと想像されます。ポンは当時パリの天文台の門番をやっていて、夜暗くなると密かに裏庭に出て観測していました。生涯で28個の彗星を発見していますが、同じ時期のメシエもポンのライバルとして活躍しました。メシエの星団星雲のカタログは有名です。

 私も15センチの反射望遠鏡で見える彗星と紛らわしい天体を記録したいわゆる「セキ-カタログ」を作成したことがあります。数としては、メシエよりはるかに多いものでした。当時、既成ではスカルナテプレソの星図が捜索に便利でしたが、小口径では、到底暗くて見えない星団星雲が多く、あまり詳しすぎて我々には実用的ではありませんでした。

 去る9月16日に芸西天文台で観測会が催されました。20名くらいの参加者があり、夕空の西北の空に輝く「ポン-ブルックス彗星」を観測しました。参加者の全員が見て思わず歓声の声を挙げました。モウロウと輝く8等星で尾は見えませんでした。写真は70センチに同架した口径15センチの屈折望遠鏡で3分間露出したものです。1812年の発見以来、実に200年振りの姿かと思うと、ふと得知らぬ緊張が全身に走りました。−嗚呼、宇宙は悠久ですー。
  
 「彗星ー、それは永遠の瞬間を旅する者のこと」

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