幼いころの最も古い思い出である。
 高知城下の桜が満開のころ(昭和10年ころ?)、母に連れられて夜桜を見に行った。私にはこれより古い幼い日の記憶はない。思い出は茫呼としてかすんでいる。低い丘の上に、いくつかのぼんぼりが赤くともって、多くの人が花見音頭で踊っていた。帰りは、公園の鬱蒼と茂った樹木の下の細道を母に手を引かれて歩いたが、真っ暗で人通りは無く寂しかった。
「ミーン、みーん」と盛んにすだく高い虫の音を聞いたが、あとでしらべたら、春3月に鳴く「キリギス」という虫だった。寂しく怖かったことと、ヤケに高い虫の音が鮮明な印象として残っている。

 「スベリヤマ」は、桜の満開だった。子供のころは、よく遊びに来て、この丘の草の坂を
すべってあそんだものだが、今の子供たちは家にこもって、テレビやパソコンなんかに夢中になるので、全く子供の影は無かった。したがって、大自然との出会いもない。

 太平洋戦争勃発前夜の1940年頃、火事を告げるサイレンで夜中に起きた。そして高知市の上に輝く燦然たる星空を、偶然発見して思わず快哉を叫んだ。チカチカと微光の流星も盛んに活動していた。
 人口わずか10万余の高知市の上空には、当時光害の全くない本物の星空があった。「岡林・本田彗星」の発見された頃である。初めて見た星空の凄さはいつまでも私の心の片隅に残り、やがて次の”第2の出会い”を生むことになるのである。
 人生には、不思議な出会いが待っている。

「写真は桜の満開となった4月5日の高知公園のすべりやま風景」
IMG_4638


にほんブログ村 科学ブログ 天文学・天体観測・宇宙科学へ
にほんブログ村