今日10月6日は私が初めて彗星なるものを発見した記念の日です。その名は「クロムメリン彗星」。クロムメリン彗星誕生のいきさつは複雑で省略しますが、要するにイギリスのクロムメリン博士が、1928年に日本の山崎正光氏と南アのホルベスさんが発見した彗星が、実は昔も出現していた彗星であることを発表し、国際天文学連合では、彼の研究を記念して「クロムメリン彗星」の名で呼ぶようになったものです。

大英天文協会が発行している「天文ハンドブック」に、この彗星が1956年の10月ごろ回帰することが発表され、世界の多くのハンターが捜索していました。10月6日の午前4時、高知市で発見した位置はクロムメリンの予報より10度も北にずれていましたが、私はこれを同彗星の回帰と見て東京天文台に電報しました。

電報は世界的に定められた一種の暗号電報でした。そして欧文電です。素人ならこんなことはしません。東京天文台では”Sekiとは一体何者だろう?”とう事になったそうです。マスコミも発見者の住所も分からず大騒ぎに。しかし東京ではこれを重く見て、直ちに国内の研究機関に転電し、コペンハーゲンの国際天文電報中央局に発信しました。

それから28年後にクロムメリン彗星はまた帰ってきました。そのころには芸西村に天文台が完成していました。今度は60cm反射望遠鏡で立派な観測ができました。これが過去100年来、謎に包まれていたクロムメリン彗星の真顔です。

(写真は1984年2月29日、芸西の60cm鏡で撮影したクロムメリン彗星。)

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