少し昔になるが、車で天文台に向かう途中の市内で、突然「むく鳥」の集団に出会った。何百羽か何千羽か知らないが、突然あたりが暗くなるほどの大群であった。鳥たちは平らになったり、縦長になったり、球形になったり、あるいは、瞬間方向を直角に変えたりして、さまざまな曲芸?を見せた。どれかの鳥が号令をかけたとしても、こんなにきれいにそろうものではない。鳥独特の勘が働いているらしい。
 これに比べて人間(特に私なんか)は勘が悪い。旅先で会場やホテルの方向なんかを忘れて往生することがある。

 鳥のおびただしい群れを見ているとき、フト芸西で観測している小惑星の大群のことを連想した。小惑星たちにも群れがある。火星と木星との広い空間を、一様に分布して運航しているのではなく、あたかもムクドリの集団のごとく群れを成して飛んでいることがわかってきた。これは、仮説であるが、もともと地球並みの惑星であったものが何らかの理由で崩壊した。そしてその軌道上に散布されて、徐々に広がって行っているのである。その様子は、秋から、冬にかけての衝の位置にはおびただしく発見されるが、夏場になるとさっぱり見つからなくなる事でもわかる。芸西では200個以上の小惑星を発見、登録してきたが、それらの99パーセントまでが衝の位置での発見である。芸西では1,000個を超える小惑星を観測してきたが、衝を大きく外れた場所での観測の記憶はない。20等までは観測しているが、暗いから見つからないのではなく、特定の場所以外には多くは存在しないのである。もし、小惑星が一個の惑星から崩壊してできたものとすれば、その軌道上に永い歳月をかけて、徐々に分散していくのである。

 これからも小惑星の探索を続けていけば、意外なる時事実が判明するかもしれない。

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