1.マックガン彗星の思い出

 事件が起こったのは1948年の秋、私がまだ高校生の頃だった。ラジオや新聞で
突然明け方の空に「マック−ガン」という宇宙の怪物(彗星)があらわれたことが報道された。まだ一般にテレビのない時代である。そのころヨーロッパの一部で見られた皆既日食があって、日本でも太陽が大きく欠けたのであるが、その時黒い太陽コロナにくっつくようにして短い尾を引くホウキボシが発見された。

 ところがその少し後で、カリブ海の上空を飛行していたマック−ガンは、日の出前低空に棚引く様に輝く異様な天体を目撃し、基地に帰ってから報告した。俗にマックン彗星として登場したが、正式には1948年の「日食彗星」として登録された。

 この事件が私の天体望遠鏡作りの記念すべきスタートとなった。1965年10月の新彗星発見は実に粗末な手作り3台目のオンボロ望遠鏡によるものであった。今思えば手作りの粗末な望遠鏡をひっさげて、寒空に立ち向かったあの頃の自分が懐かしい。発見者といえども、誰しもが経験した懐かしい思い出である。

スキャン



にほんブログ村 科学ブログ 天文学・天体観測・宇宙科学へ
にほんブログ村