昨年の暮れから今年の年初にかけて、天文関係者の訃報が相次ぎました。中でも芸西天文台の関係者にとって岡村さんのご逝去は大変悲しく惜しいことでした。岡村さんは東亜天文学会の古い会員であり、高知県で最も早く天体観測や天文学の普及活動に従事していました。その温厚な人柄と、常にユーモアを交えた、子供たちを引きつける指導には定評がありました。心よりご冥福をお祈りいたします。

 芸西天文が出来ると、その最初のメンバーに属し、最近まで子供たちの指導に当たられました。30年近くに渉る天文台の生活のなかで最も印象に残る大きな出来事は、なんといっても1986年のハレー彗星接近でした。ご自分で研磨した反射望遠鏡を持って、ニューカレドニアの孤島に行って、共に彗星を観測した事は忘れられません。そして2000年にはハワイのマウナケアに出かけて満天の星の下に、大宇宙を観望したことも。

 岡村さんはこうした観測や指導が上手だっただけではなく工作も得意でした。芸西天文学習館には、岡村さんの作ったハーシエル望遠鏡の模型が展示されています。また反射望遠鏡の鏡面の研磨にも独特の優れた技術を習得されていて、沢山の鏡面を磨きました。ハーシエル望遠鏡の左に見えている38cm反射鏡は岡村さんが最後にフーコーテストした作品です。

(写真は完成した反射鏡を見る岡村氏。下は自作したウイリアム ハーシエルの天体望遠鏡の模型で、その左が38cm反射鏡のテスト台)

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