彗星と星雲(銀河)の同時に写っている写真です。彗星が幽かな尾をひいていますから、下の銀河とはっきり区別できますが、もし尾を流していなかったら、判定できるでしょうか?

 長い間彗星の眼視捜索をやっていた本田さんは、1949年頃、この質問に対して「判別できる」と言った明快な答えをだしました。惑星状星雲はともかくとして、系外星雲は、なんとなく輝き方が違うのです。発見した天体が彗星でなかった場合は判定に迷います。しかし本物の彗星だった場合は、どんぴしゃり分かるのです。

 1961年10月、私がしし座に発見した彗星は瞬間彗星として凱歌を挙げました。1962年2月に発見した「関・ラインズ彗星」は、咄嗟に彗星と思いましたが、その場所に丁度星雲を示す記号があったので悩みました。しかしあの光芒は絶対彗星のものだ、という長年の経験による自信が打ち勝ちました。

 全天を長年隈なく探し続けての尊い経験が、如何に重要なものか。彗星を捜索していて見つからなくても、そうした発見のための準備が着々と培われているのです。今のプロによる、とてつもなく暗い彗星の発見には興味がありません。太陽のそばでの、明るい彗星との突然の出逢いこそ、発見の華なのです。今、黙々と努力しているコメットハンターたちの成功を祈ります。

(写真は、芸西の70cm反射望遠鏡で撮影した彗星と暗い銀河)
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