明治時代に火星運河説のローエルが日本に来たことを知って驚いた。当時の乗り物としては汽車や電車もなく、船か人力車である。そして言葉も通じない。そんな不便な日本にやってきて、一体何が目的だったろうと訝しく思う。

 ローエルは主に能登半島を旅したという。その紀行文が残されていて、NHKのラジオで連続放送されたことがある。人によると、日本の竹に興味があったとか、火星を観測するために、大気の状態を調査するのが目的であったとかいう。つまり惑星を観測するためには、空気が落ちついていなくてはならない。陽炎の様に映像が常に揺れている状態では、良い観測はできないのである。

 観測者は、この大気の状態を「シーイング」と言って10段階でランク付けしているのである。もし日本が抜群に大気の状態がよければ、日本にもローエル天文台が出来ていたかも知れない、と思ったりする。シーイングが良いという事は、より大型の望遠鏡を持った以上に効果がある。我々がやっている彗星の観測も同じで、大気が落ち着いていれば、より暗い彗星が観測できるのである。

 アメリカのアリゾナ州は、気流の安定した天体観測に優れた場所である。これに比べて日本列島は、概して悪いと言われている。火星を見ても表面は常に陽炎が立って揺れている。それでも静まった瞬間はある。その静まった瞬間の様子を見てスケッチするのである。しかし最近はCCDカメラによる撮影が主流となった。7月下旬の大接近の時には、芸西でも写真撮影を試みてみよう。果たして”運河”が写るのか??

(写真は私の散歩コースで、いつも出会う鏡川畔の野良ネコ)
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